第二章

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  「何でそんな会長の世話係みたいなことしてんのかは知らないけどさ、俺はそういうの良くないと思う。会長に頼まれてやってんならアレだけど、そうじゃないなら会長の為にも黎司の為にもならないだろ? 会長は友達作れないし、黎司はこんなことの為に時間を使ってもったいないし。だから、」 「……るさい」 「え? 聞こえな──」 「うるさいって言ってるんだ!」  もう、馬鹿。雨宮親衛隊長怒っちゃったじゃない。どうなっても僕は知らんぞ。 「さっきから黙って聞いてたら好きなことばっかり……! 僕がどんな気持ちでこうしてるかなんて知りもしないで、勝手なこと言わないで!」  拳を振りかざす雨宮親衛隊長。反応が遅れた社君。迫る拳。避けられない社君。目を瞑る社君。何でやねん。喧嘩強いんじゃなかったのかい。  漫画でよくある殴られた時の効果音はバキィッ! みたいな感じだけど、雨宮親衛隊長は人を殴るのに慣れていなかったのか、躊躇が色濃く滲み出たその拳がそんな痛そうな音を立てることはなかった。せいぜいパシィ、くらいか。よく考えたらバキィッて確実に骨いっちゃってるよね。格闘漫画に骨折は付き物なんだろうけどさ。  結論から言えばそんなに痛くはなかった。ただ、ちょっとくらいは腫れるかもしれない。良かった、歯とか折れなくて。 「みなとっ!?」  
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