第二章

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  「本当は、あなたも分かっているはずです。一番辛いのは自分だということを」  どうしよう。あまり説教とかしたことないし、上手い言葉が浮かんで来ない。どちらかと言うと説教はされる立場が多かった僕には某ラッキースケベばりの高説はかませそうにないが、それっぽいこと言っておけば何とかなるだろう。こんな白熱する場面のはずなのに、トップギアに入ることが出来ない僕の性格を呪った。 「僕はあなたのしていることを否定するつもりは毛頭ありませんが、少なくともあなたが幸せになれないということは分かります。他者を排斥した所でそれは会長を振り向かせることに直結はしませんし、そうすることで傷付くのはあなたを始め親衛隊の方々だから」  僕は、基本的に親衛隊という組織を快く思っていない。それは風紀を乱すどうこうの問題ではなくて、親衛隊に加入する人達のことを思うと憐憫の念しか沸いてこないからである。いや、王道で良いとは思うけどね。  親衛隊は、基本的に報われないシステムになっている。  そりゃそうだ。皆で見守ることが目的です、なんて受身な考えで憧れの個人と親密になんてなれるはずがない。分かりきったことである。  
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