第二章

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   さて、需要は確実に無いと思われる某DMD(大天使マジ大天使)な天界ゲームのゴリノックさん的ドヤ顔が炸裂した辺りで、僕は漸く安堵し始めていた。まさかこれだけの被害で済むとは思わなんだ。流血騒ぎを想定していたというのに、若干拍子抜け。いや、助かれば何でも良かったわけだし不満は無いよ。  ただ、何か忘れてる気がしないでもない。  その何かは置いといて、とりあえずは社君と共に朔夜と黒瀬君と合流しなければ。 「僕達も早く、朔夜と黒瀬君に合流しましょう」 「黎司、泣きそうだったな……」 「そうですね。雨宮親衛隊長も何か思い当たる節があったのでしょう。とりあえず二人と合流を……」 「俺さ、割と人の気持ちには敏感なんだ」  ダウトだバーロー。それにそんなこと聞いていません。そして僕の話を聞いて!  俯き、どこか悔しそうな表情で青々とした地面を見詰めている社君は、雨宮親衛隊長と同じように拳を握り締めていた。何でやねん。 「悲しそうな人がいたら喜ばせてあげたい、って思うのは普通のことだろ? 俺、特に人が悲しそうな顔してんのが凄い分かるんだよ。何かこう、伝わってくるっていうか」  つまりオーラですね、分かります。社君は将来スピリチュアルカウンセラーにでもなるつもりなのだろうか。職業選択の自由が謳われる現代社会だし、別に勝手にしてくれて構わないのだが、ただ、これだけは言わせて。これだけは。  黙れ小僧!  
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