第二章

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  「黎司、どうしてかは分かんないんだけど、ずっと悲しそうだったんだ。でも黎司はそれを隠そうとしてた。俺はきっと、黎司が言ってた親衛隊とか制裁とか、そういうのが黎司を苦しめてるんじゃないかと思うんだよ」  それは思った。  多分、雨宮親衛隊長は自身にコンプレックスを感じているのだろう。会長が好き好きマジ好き超大好きな彼だが、好き過ぎるからこそ自分が会長というブランドを損なってしまうことを恐れた。いや、いくら水面下といえどもやってることはかなりえげつないし、既にブランドに傷付けまくりですけどね。本人は気付いていないらしいが。  恋は盲目とはよく言ったものだが、雨宮親衛隊長の場合は会長を思うあまり会長が見えなくなってしまったのだろう。単純に恋に対して前向きになれないだけなのかもしれない。そこはよく分かりません。サイキッカーじゃないんで。 「黎司を救ってやりたんだ! あんな作り笑いばっかしてて、人生が楽しいわけないから」  もっともだよ社君。でもね、君の場合はそれは雨宮親衛隊長の為にならないんです。 「それは、社君が口出しすべき問題ではありません」  社君が目を見開いた。眼鏡も少しずれた。分かりやすく驚きを露にしている。可愛いなおい。  
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