第二章

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   僕としては目の前のチャラチャラした生徒のことなんて一生忘却の彼方へ葬りさる方向で行きたいのだが、どうやら彼らはそれを許してくれないらしい。この距離からでも臭うキツイ香水に吐き気を催す。何だコイツらヘラヘラしやがって。ひたすら気色悪いな。  雨宮親衛隊長の退場に続いて大半の人間が屋上を立ち去ったが、僕が視認出来る限り、目の前にはあまり頭が良くなさそうな男が……七人ほど残っている。毛先弄び過ぎだろコイツら。カラフルな頭が複数目の前でうろちょろするからちょっと酔っちゃいそう。馬鹿っぽく見えますよって教えてあげた方がいいのかな。 「久しぶりに黎ちゃんとヤれると思ったのになー」 「後で押し掛けてみる? 仕事はなかったけど手間賃よこせーって」 「身体で支払えよ的な?」 「ギャハハ! どこの昼ドラだよそれ!」 「じゃあ昼ドラっぽく輪姦しちゃう感じでどーよ? やべ、チョー楽しそうなんですけど!」  ……下衆どもが。  ちょっと上手い形容が見付からない。言葉が足りないんじゃなくて、挙がる言葉が多過ぎてだが。下品、野蛮、低俗、粗忽だとか、何でもいいけどとりあえず頭が悪い。  どうやらコイツらは親衛隊ではないらしい。雨宮親衛隊長が暴力要員として招集した一般生徒だろう。ただ、どうしようもない下衆野郎どもで間違いなさそうである。  
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