第二章

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   ほらみろ、やっぱり一番傷付くのは雨宮親衛隊長なんだ。  もし僕と社君が抵抗した場合に親衛隊の子が怪我をしてはいけないから、雨宮親衛隊長はコイツらみたいなどうでもいいゴロツキを集めて僕達を襲わせようと考えたのだろう。何せこちらには朔夜と黒瀬君がバックについているのだ。単純な殴り合いではあちらの分が悪い。  それに、親衛隊の子達ではなくコイツらが自身の判断で僕達を襲ったことにすれば親衛隊は責任を問われないし、朔夜や黒瀬君に邪魔をされて返り討ちに遭っても元々どうでもいい連中だ。  代償は雨宮親衛隊長の身体。殴ってストレス発散出来る上、雨宮親衛隊長を美味しく頂けるわけだ。コイツらみたいな馬鹿は喜んで雨宮親衛隊長に従う。多分、何回かこういうことはあったのだろう。ゴロツキの一人が「久しぶりに」と言っていたし、今までに制裁と称して生徒が暴行を受けた事件は今回が初めてではない。今回は未遂ではあるが。  腸が煮え繰り返るな。雨宮親衛隊長にも、目の前の馬鹿どもにも。  ふと隣に目をやると社君もどうやらそのことに気付いたらく、焼きそばパンを持っているのなんてお構い無しに、中身の焼きそばが飛び出るほど強く両の拳を握り締めている。心なしか髪の毛……あ、鬘か。鬘が逆立っているようにも見えた。  
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