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…実際、金持ちの息子で俺くらい容姿がよければかなりモテる。
だけど何か物足りなくなったのは…やっぱり遊里に出会ってからだろう。
俺は海斗や遊里のように、お互いを心から愛せる恋をした事がない。
…正直、うらやましいよな。
金も地位も、それに可愛い妻に可愛い息子達。
海斗は全て手に入れてる。
だけど遊里を奪おうと思えないのは…俺が昔海斗にした最低の行為への罪悪感かもしれない。
プルルルップルルルッ
突然家の電話が鳴り、驚いた俺は勢い良く立ち上がった。
「っ…びっくりするじゃん…人が寝てたのに…」
舌打ちをしながら辺りを見渡す。
誰もいないし…。
普段はお手伝いさんが何人か居るのに、今日に限って誰もいない。
…一斉に休み取るなよな~…。
面倒くさく思いつつも仕方なく受話器に手を伸ばした。
カチャ。
「はいもしもし。結城で…」
『もしもし!?そこエルですよね!?』
いきなり慌てた声が耳を貫く。
寝起きにこのでかい声はきつい。
エルって…うちのビルに入ってる出張ホストの事務所の名前だよな…。
俺はすぐ間違いに気付いた。
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