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「いやあの、取り分の前に、お姉様達の私への呼び名が、微妙かつ解りやすく変化してるのも気になるんですが」
「それは気のせいよ、ミニゴジラ」
「そうよ、あなたは頑張って働いてくれたらいいのよ、ゴジラ松井」
「いやあの、すんげぃ有名人の名前出てきてますけど、もし本人だとしたら、食うに困らない位の年収あると思うんですけど私」
そんなヤマデレラの冷静なツッコミをよそに、意地悪な姉達は、各々おめかしを始めました。
パパ●ヤ鈴木を目差すのかと言う位に髪を巻く姉、首と顔の色が違う位に化粧を塗りたくる姉、キャバ嬢かとツッコミたくなる位に、露出の高い、ピンクのドレスをあてがって、鏡の前でターンを決める姉。
「姉っちゃ、これから何があるだ?」
オシャレ三昧の姉達とは違い、毛玉だらけでボロボロのスエットを、年がら年中着ているヤマデレラ、化粧もした事がないヤマデレラ、姉達が羨ましくて仕方がありません。
「これから、ウィカ財閥主催の合コンパーティーがあるのよ」
「ウィカ?」
つけまつげを着けながら、次女が言いました。
「まぁ、ヤマデレラは知らなくてもいい事だけどね」
何で私ばかりがいつものけ者で、こんな仕打ちなんだろう、何で私ばかりが働いてこの人達を綺麗にしてあげなきゃならないんだろう…
ヤマデレラは、強く強く、拳を握りしめていました。
強く握りしめたせいで、手の平に爪が食い込み、血が滲み出ていました。
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