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とうとう姉達は、ヤマデレラを置いて合コンパーティへ出かけて行きました。律儀に姉の言いつけを守り、家中の掃除を済ませたヤマデレラ。
時計の針は既に深夜をさしており、ヤマデレラは倒れるように眠りにつきました。
翌朝、部屋に差し込む日の光と、窓から入る風で目覚めたヤマデレラ。
「あれ?オラいつ窓開けただか?」
「それよりワシに気付け。」
「誰っ!?」
突然の聞き慣れない声にヤマデレラが驚いて振り向いた先には、怪しい風貌の小柄な人が立っていました。
つばの大きな黒いとんがり帽子、黒いローブに黒いマント。まるで物語にでも出てきそうな格好の人は言いました。
「ふふふ。見ての通りワシは魔法使い。」
「魔法使いて!有り得ねぇだ!あんた泥棒だか!?」
「魔法使いと言っておろう。その証拠に、ほーれ。」
魔法使いと名乗る人は、マントの下から奇麗な洋服を出しました。それはまさに、魔法のようでした。
「それ姉っちゃのドレスじゃないだか!?」
「ちぃ。疑り深い娘じゃのう。お前の願いを叶えてやるために来た魔法使い様じゃ。迷える子牛よ。」
「子牛!?」
「外に荷馬車もあるよ。」
「子牛に荷馬車!?」
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