―始まり― 

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      ーーカチャ‥ガタッ かすかに、ん? という声が聞こえた。 ーーーーカサッ… うわ‥早速読んでるやん‥ うわわ‥どないしょう‥ こっ‥心の準備が‥ 手紙には、こう書いた。 〔  好きです         泉 由香 〕 何日もかかって書けたのは、この一言と名前と携帯番号だけ。 自分の文才に、ある意味での拍手を送りたい。 伝えたいことは、山ほどあるはずなのに‥ こんな愛想もない、可愛げもないラヴレターで、先輩に想いは伝わるのだろうか。 いや、伝わるはずはない。 なぜなら先輩は、あたしの存在を知るはずがない。たぶん。 …だって喋ったことないし。 それやのに、なんで好きになったかって? まぁ、その話は長くなるから、また次回ということで‥(笑) 【ブー・ブー・ブー】 私の携帯が、せわしく揺れ始めた。 (っ‥ちょ‥‥誰やねん、こんなときにっ!) あたしは、ポケットの中にいる携帯電話を乱暴に引っ張り出した。 ‥あぁ‥なんて、 なんて私は馬鹿なんだろう。 それが、最愛の人からの連絡とも気づかずに‥      
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