時代の風

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「時代の風」  平成十九年 十二月十四日(金) 北斗の風が 動く 初陣を飾ろうとする 若者たち 老獪な 戦士が つぶやく 「総力戦になる」 女たちは 飯を炊く 軍馬のいななき 逃げ惑う 鳥たち 無力な乞食は 恐れおののき 天下分けめの この戦の 意味を問う 不敵な面構えの 歴戦の 勇士たち 裏切り リンチ かく乱 「汚ねえ事しやがる」 勇者は罠に堕ち 鮮血が空に舞う 子供たちは涙し  狂い死にする民は 神を呪う 天下分けめの この戦の 意味を問う 吟遊詩人は唄う 「戦いは無益だ 人が死ぬのが そんなに 嬉しいか」 総大将が言う 「女みたいな歌うたう  へなちょこに  何が 解かる」と 「国を守るためには  民のためには  戦をするしか ないのだ」と人が死ぬ 地上が血に染まる 核のキノコ雲 ボコボコになった 月のクレーター 飢え死にする 難民 国境を越えて 殺される 赤ん坊の肉を 我が子に食わせる 野良犬 女は犯され 混血の血を 呪う人々 「神は 死んだ」 ニーチェはそう言った だけど そもそも  最初から 神などいない リンチされ 鞭打たれ 十字架に散ったのは キリストだけか? 何千何億という人々が 宗教のために 死んだ 自由とは何だ? 平等とは? その意味を 自分の頭で 考えろ 時代の風が 吹く 大河の流れ のよう 皆が踊りだす そして 誰にも 止められない 時代の風が 吹く 誰の命にも 吹く ボブ ディランを 聴け NO MORE WAR ! と叫べ! 戦争を 呪え! 帝国たちの野望を 止めろ! そして 生活を 慈しむんだ 吾亦紅を聴いて 俺は 泣いた 涙が止まらなかった 歳をとったら 皆わかる 止め処なく 涙あふれる 若い頃の恋 幼なじみ 今は亡き父 年老いた 母 吾亦紅を聴いてみろ そして君も 泣け 親を 想え!
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