その弐「糸くず」

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 木と鉄パイプで組み立てられた机や椅子。  正直、もう見飽きたと思うのは俺だけだろうか……  小学校に入学してから十一年間、見た目や機能は変わらず、ただサイズだけが成長している。  まるで、俺と同じだ。  昼休み……  活きの良い野郎共は、校庭でサッカー。  腐った俺達は、教室で昼寝。  女子達は、個々のグループに別れて「井戸端会議」。もう、おばさんになる練習か……  俺が顔を伏せる横の席には、笹川って言う女子が、楽しそうに会話をしている。  嫌でも耳に入る彼女たちの会話は、「この学校で誰が一番カッコいい」とか「彼氏を紹介して」とか、「自分の彼氏自慢」ばかり。  当然、俺なんか名前の候補に挙がる訳もない。  俺は、両腕に顔を伏せながら寝る体勢をとり、横目で笹川を何気なしに見た。  大きくパッチリと二重の目、形の整った小鼻、ふっくらと弾力のありそうな唇に、うっすらとピンクの頬。  気が付けば、いつも見とれている……何時間でも見れると思う。  見ているだけで俺の脳と心を、何とも言えない、豊潤で甘い感覚が支配してゆく。  細い首筋に適度に膨らむ胸。  白い糸くずが付いているチェック柄のスカートの下からは、まるでシルクのような長く綺麗な太もも……んっ…?  ――糸くず……
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