その参「伝説の剣」

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 民衆に手を振り、自信満々で登場したのは、華奢(きゃしゃ)な体格の少年。  どう見ても、先ほどの筋肉質の大男や、その後に現れた民衆の力に敵う訳もない。  少年は、伝説の剣の前で仁王立ちになり大きく深呼吸をした。  すると、少年は、両腕をゆっくりと開き、体の前で円を描き脇の下で拳(こぶし)を締めた。  少年の体の周りからオーラを感じられる様な光景に、民衆の中から淡い期待にもにた声が木霊する。  少年は、剣をしっかりと握ると腰を沈め、集中し始めた。  そして、少年は一気に気合を入れ、全身に力を込める。  少年の雄たけびに、息を呑む民衆。  そして、次の瞬間!!  少年の手が、汗で剣から滑った。  余りの勢いに、一気に仰け反り後頭部を台座に強打しのた打ち回る。  それでも、涼しい表情の伝説の剣。  暫くすると、一人の老人が現れ、少年の手を掴んだ。 「優勝は、ジェジュル!!」  その瞬間に歓喜の雄たけびが民衆から発せられ、少年も立ち上がり飛び跳ねて喜んだ。  彼らの頭上に一枚の横断幕が掲げられている。  ――伝説の剣抜きリアクション決定戦――  民衆が、去ったあと、少年の手を掴み優勝と叫んだ老人は、何の抵抗もなく素直に伝説の剣を抜くと、横断幕に包(くる)み、持ち帰った。  おわり  new DecolinkParser().start('diary_body')
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