一件目

11/37
前へ
/548ページ
次へ
「要るものがあれば言ってくれ。1日で用意する」 そう言うと柳瀬は神奈の顎に手をかけ上を向かせ、神奈の唇にキスをした。 「タバコくさいよ」 「吸ったあとだからな」 キスはさらに深くなっていく。 「すみませーん。これ下さい」 二人の間に流れていた空気が一瞬にして弾ける。 「はーい。ご自宅用ですか」 客に尋ねながら、柳瀬はのれんをかき分け店の方に戻っていく。 ここは『やなぎ』という名の小さな和菓子屋だ。
/548ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1197人が本棚に入れています
本棚に追加