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その男は気だるげに長すぎるダークブラウンの前髪を掻き上げ、ベッドから起き上がった。
素足のまま毛足の長い絨毯に両足をつけるとギシリとスプリングを軋ませてそこから降りた。
180以上ある長身に鍛え上げられたしなやかな筋肉に包まれた裸身を惜しげもなく晒し、男は気にすることなく窓辺へと近づく。
窓辺に佇んだその後姿を見たモノは、必ず驚愕と畏怖に身体を震わせるだろう。
男の背中には一匹の龍が此方を睨んでいた。
背中一面に描かれたその黒龍は大きくかっと目を見開き、一緒に描かれている真っ赤な炎に爪を立て、それを食いちぎるかのように牙をむき出して泳いでいた。
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