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「安心して……彼女は違う」
「違う?」
「あれは……彼女は腹違いの妹だ」
「っ!?いもうとーー!?」
い、いもうと……妹……妹かぁ。
ま、まさか、そんなオチだったなんて、夢にも思わないし。
つうか、す、凄く恥ずかしい……早とちりもいい所じゃん。
うわ~うわ~、あたしのばかーーー!!
「そっか…まさか、あんな所を見られているとは思わなかったよ。でも、彼女は正真正銘の俺の妹で、アイツも内藤の家で色々立場が大変なんだ。それで相談に乗ってたんだけど……」
馨は言葉を一旦切って、あたしの頬に左手をそっと伸ばしてきた。
「ちょっと不謹慎かもしれないけど、君がヤキモチ妬いてるって知って、正直すげーー嬉しい」
満面の笑みで馨はあたしの頬を何度も撫でた。
その微笑を見て、心の底からじわじわと暖かい物がこみ上げてくる。
この微笑をもう一度見たかった。
その、綺麗な薄茶色の瞳……あの初めて会った時と変わらない、綺麗な双眸。
「馨ちゃん……あたし、馨ちゃんに謝らなきゃなんない事がいっぱいあるんだ」
「え?」
「まず、馨ちゃんに黙って高島の家から出て行った事。約束してたのに、ごめんね」
「ああ……もう、いいんだその事は」
「あと…」
「ん?まだあるの?」
「うん……あのね、呆れないんで欲しいんだけど」
一旦言葉を切り、グッと両手に力を込めて覚悟を決める。
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