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「あの……」
急に後ろの席から声をかけられた。僕はびっくりして、涙を拭いて振り向いた。
「何……?」
振り向くと、見たことのない女の子が座っていた。
肌は小麦色で、茶髪。パッと見はギャルっぽい感じだ。
……この子か。タクが言ってた転校生は。
「これ、落ちたよ」
拾って見せてきたのは、麻樹の写真だった。
定期入れの中に入れていたものだ。
「あ……ありがと」
何かの拍子に落ちたのだろう。
僕は写真を受け取った。
「あの……」
「何?」
あきらかに不機嫌な顔で、僕はまた振り向き直した。
正直僕は今、人と話したくない。このときの僕の顔はすごく嫌そうだったんじゃないかと思う。
「彼女?」
「うん」
――この世界にいなくても、僕の彼女という事実には変わりない。
僕はためらう間もなく返事をした。
すると、彼女はいきなり予想外の言葉を吐いた。
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