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予想外
「そうだね……麻樹、キミといれて幸せだって言ってたもんね……」
僕は耳を疑った。
「麻樹のこと知ってるのか!?」
僕は勢い良く尋ねた。
「うん。私、麻樹のいとこなんだ」
その女はマスカラを大量に塗り、太くひかれたアイラインで囲った目をパチパチした。
いとこ……。
『いとこのナオちゃんってすごく優しいんだよ!』
『ナオちゃんがね、これくれたんだ!』
……あ!!
「ナオちゃん……?」
僕は記憶をたどり、麻樹の口から頻繁に聞いていた、この名前を引っ張り出した。
「あ、うん! そう。私、永川直美」
これが麻樹の仲良しだって言ってた、いとこか!!
でもたしか、東京に住んでるから、あんまり会えないって麻樹がぼやいてたハズ。
「なんでこの学校に?」
「ん? 親がね、外国に転勤になっちゃって。卒業まであとほんの少しだけど、ここ姉妹校だから入りやすくて」
ペロッと舌を出して笑って言った。
「あのさ、クラスメイトになったんだし、私のことはナオって呼んでよ。キミさ、優ちゃんでしょ? 優ちゃんって呼んでいい?」
ナオは身を乗り出して聞いてきた。
僕はナオを見て言った。
「ゴメン、その呼び方は麻樹と麻樹のおばさんだけにしか慣れてないから」
ナオは、そっかぁーと言って席に着いた。
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