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講義が始まり、いつものようにボーッと話を聞く。
中村も隣に座り、同じようにボーッとしている。
「……」
僕はルーズリーフに、ボールペンで
“バスケ好きか?”
と書いた。
それを見た中村は少しだけ驚いて、なにかを書いた。
“モチ!”
もちろん……か。
バスケ好きじゃないと、大学までしないよな。
フゥ、とまたため息をついて、窓の外を見る。
……桜が咲いてる……。
気づかなかった。
もう……そんな時期か。
あんなに大好きだった桜にも気づけない。
今までそんなことなかったのに。
桜の時期になれば、自然と麻樹を思い出していたのに。
すごくそれが悔しくて、僕は机に伏せた。
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