久しぶり

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……麻樹のいとこか……。 きっと麻樹がまだ学校に来ていたら、すごく喜んだんだろうなぁ……。 アイツ、いっつも「ナオちゃんがね」って言ってたし。 麻樹じゃなくて、僕が病気だったら……きっと良かったんだろうなぁ。 ……そうだよ。なんで僕が死ななかったんだ……。 僕が死んでいたら、今ごろ麻樹は、もっと楽しいことをもっともっと、体験できてたと思う。 なんで僕が残ったんだろう。こんなに取り柄もない僕が……麻樹がもっと生きていられたら。 あんなに小さくて華奢だったのに……最後まで頑張って。 僕はあれから神様なんてまるで信じちゃいなかった。 神様なんて、不公平なことしかしてくれない。 今でも夢に麻樹が出てくる。 枕の下に写真を置いてたりしていないけど、いつも麻樹が出てくる。 でも、夢に出てくる麻樹は笑っていない。いつも涙を流している。 どうして? そっちはつらいのか? 僕はなんで助けてあげられる場所にいないんだろう。 あんなに約束したのに。 守ってやるから、そばにいてあげるからって……。 何ひとつ、守ってあげられていない。 できれば一生守りたかった。麻樹がおばあちゃんになっても、ずっと、ずっと。
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