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プルルルル……。
『はぁ~い』
ナオが少し酔っているのか、かなり間抜けな声で出る。
「ナオ? お前なんで今日、歓迎会って知ってんの!?」
僕は少し怒鳴り気味に尋ねた。
『いやぁ、友だちとね、居酒屋来たら、K大バスケ部って言ってたから声かけたんだぁ。優くんいなかったし。来ないのー?』
すると、受話器越しに、男の声で、
『ナオちゃーん! こっちきてよ!』
と聞こえ、
『あ、はーい! って……キャーッ!』
突然、ナオの叫び声がした。
「ナオ!?」
驚いて呼びかけるが、受話器の向こうからは
ツーッ、ツーッ……。
虚しく機械音だけが聞こえてくる。
バスケ部の中には、女癖の悪い奴だっている。
「ーッ……クソッ!!」
僕は携帯を握りしめて居酒屋に向かった。
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