久しぶり

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僕は一生こうして麻樹のことを想い続けるんだろうか。 でも、いつか声を忘れて、顔も写真を見なくちゃ思い出せなくなるんだろうか。 麻樹は笑うだろう。麻樹に誕生日プレゼントでもらったアルバムを、まだ最後まで見れないなんて知ったら。 いつか麻樹にあげた指輪の片割れは今でも僕の指にはまっている。 部屋のドアに貼ってある写真みたいに、寄り添って笑う僕たちの笑顔は、今じゃもう叶わない。 見るたび、今までの出来事が鮮明によみがえるんだ。 ふたりが写真に入りきるように、笑いながら、おでこをひっつけて写ったこと。 「可愛く写してね」なんて麻樹が言うから、ワザといきなり撮ったりしたこと。 指輪買うためにバイトしていた僕を疑って、ひとりで泣いていたこと。 卒業式で、麻樹が『別れの曲』を弾いてくれたこと。 それに、ふたりが初めて気持ちを伝えあったこと。 秋と冬は、いつだって隣り合わせだってこと。 僕たちがすごしてきた17年間はあまりにも長すぎて、思い出を思い出すと、キリがない。 いろいろなことを思い出すとホラ、涙なんかすぐに出てくるんだ。 麻樹、ある意味麻樹が残らなくて良かったな。 麻樹は僕よりももっと泣き虫だから、もっと泣いていたかもしれない。 僕は、泣いてる麻樹は、もう見たくないよ。 残された側ってさ、胸が苦しくて苦しくて、仕方がないんだよ。 無意識に名前を呼んだり、学校で思わず探してしまったり。 僕はどうしたら、こんなに泣かずに済むのかな……?
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