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桔平君の秘密基地
アンダーギーは予想以上に出来が良くて、皆喜んでいた。
皆が食べている間、桔平君は三味線をケースに入れて肩に担いで、「ちょっと来い」と年下のクセに偉そうにあたしの服を引っ張った。
自転車に二人乗りをする事10分以上。
「何処に行くの」とも「暑い」とも言わずに桔平君の背中辺りの服をつかんで黙っていた。
畑を抜けて、民家を抜けて、辺りに何もない歩道を抜けて。
「わぁ。」
着いたのは、大きな大木と小さな手作りの秘密基地の前。
秘密基地といっても、太い木の枝やら板を縄や釘で無理矢理家の形にしたみたいな、奇怪な形だった。
「登って。」
大木の枝や窪みに足をかけて秘密基地に登る。らしいけど‥
「む~り~っ!」
桔平君は慣れてるだろうけど、山育ちじゃないあたしにとって、こんな大木を登るなんで出来るわけがない。
桔平君は無理矢理、あたしを持ち上げて(かなり無理矢理)直接秘密基地の屋根に乗らせた。
降りる時どうすんの?!(笑)
「ぎゃっ。」
痛かったけど、仰向けに寝ると星が綺麗だった。
桔平君は木の枝をつかんでヒョイ。と上ってきて笑った。
「未央、重い。」
‥‥‥落としてやろうか。
無視して星を見つめる。
あたしの地元ではプラネタリウムみたいなライトしか見たことがないから、小さな星粒一つ一つにパワーを感じた。
「桔平君。」
「ん-?」
「三味線弾いて。」
小さい頃からばぁに習ったって言う三味線を、桔平君は歌も添えて弾いてくれた。
何て曲か、何て歌詞かは忘れたけれど内容は覚えてる。
あたしは、この曲に何か深い深い意味を感じたから。
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