恋歌

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恋歌

遠く離れた星の二人は 互いを強く強く想うしかない。 寂しくて泣いても 愛しくて泣いても 不安で泣いても 決して距離は変わらないけど ただ君を想う。 愛を伝える勇気がなくとも 君の気持ちがわからなくとも 君に想いが伝わっていなくとも あの日君に恋したから。 君の笑顔が輝いてたから。 この気持ちを 忘れることは、ない。 そんな歌だった。 あたしはお願いして何度も歌って貰った。 桔平君の低い声と沖縄独特の曲調は凄く綺麗だった。綺麗な星を見ながら、桔平君の歌が聴けるなんて。 もし病気にならなかったら。 もし沖縄に来てなかったら。 もしあの日ベンチで座ってなかったら。 桔平君がしつこく話しかけてこなかったら。 あたしが道に迷わなければ。 この歌を、星を、知る事は無かったんだなぁ。 そう思うと胸がギュウ、となって歌う桔平君を横目で盗み見して嬉しくて自分から笑った。 運命じゃなく偶然の積み重なりで、今、隣に桔平君がいる。 久しぶりに感動した。 「桔平君。」 「ん?」 (すごい運命だね。) 「何でもない。」 「ん。」  
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