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そのヒトは服を身に着けてはいなかった。 何故なら恥ずかしいと思うこともなく、寒いと思うこともなければ、服という物体そのものも知らなかったからだ。 そのヒトは小さな小さな王国の中で、ずっとずっと独りぼっちだった。 けれども寂しくはなかった。独りでいることが当たり前だったからだ。 たった独りの、王国。
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