出撃

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出撃を控えて準備が追い込みの段階に入っていたのだ。 「いよいよだな…」 右側に立つユーリ・スミルノフが呟くように口を開いた。 「あぁ。我々の意志と決意を地球の為政者達に知らしめる時がな…」 ユーリ・スミルノフの隣にいるエーリッヒ・ペーターゼンが応じた。 この二人は入隊も昇進も同じという、同期の将校である。階級は共に中将。 オークス軍は、まだ創設から日が浅い組織である。だが、開戦から地球連邦軍を圧倒する軍事力を展開してきた。その勢いそのままに次の一手を撃とうとしていたのだ。 「ユーリは先発隊だったな。ここから地球圏迄は5日かかる。その間にこちらの動きを連邦軍に捕まれないとも限らん。連邦軍と正面からぶつかる事もあり得るな」 「そうなったら、エーリッヒの本隊には指一本触れさせんよ。その為に、重巡クラスを優先的に回して貰ったのだ。上の編成では、成功はおぼつかん。無理強いした甲斐があったと言うものだ」 スミルノフとペーターゼンは、小さく笑った。二人は、これから始まる作戦の難しさがよく解っていた。当初の編成では、軽巡を主力にしていたのだ。
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