26人が本棚に入れています
本棚に追加
/70ページ
目を覚ますとそこは俺、葉山 捺の部屋だった。
…………そりゃそうか。
そんなバカなことを考えながらモソモソと布団から這い出た。
「くぁああぁぁぁ~……」
カーテンを開けると大きく伸びをする。
今日もいい天気だなぁ。
「相変わらずデカイ欠伸するね」
突然後ろ、部屋の扉がある方向から可愛らしい声が聞こえた。
「おうぇらあ!!?」
自分しかいないはずの家で可愛い声が聞こえたら誰でも驚くだろ?
「いやいや、そんな難易度の高そうな驚き方しなくていいから」
そこには苦笑するエラく可愛い女の子がいた。
てか、誰だ?
こんなに可愛い子が知り合いなら忘れるはずはないけど。
まさか、彼女がずっとできなかったから頭が幻でもみせているのだろうか。
ちなみに昔の幼なじみとか妹が帰ってきた的な展開はないので。
「あ~!」
突然その子が何かに気付いたように声をあげる。
「もしかして私が誰かわからないの!?」
その子は驚いたように手を口にあてた
一つ一つの動作が凄く可愛らしい印象を与える。
「……えっと、まあ」
わからないも何も今初めてあったんだから知らなくて当然じゃないか?
そもそもどうやって部屋に?
「…………ひどい、ずっとなっちゃんに会いたかったんだから~!!」
え?なんか今懐かしい呼び方で呼ばれた気がしたぞ。
「……なっちゃん?」
そのままの疑問を口にする。
「あ……」
その子が思い出したように口に手を当てた。
俺のことをなっちゃんって呼ぶのは一人しかいない(最近はあまり呼ばれないが)。
しかも、そいつがこの女の子だとしたら納得もいくな。
「…………ふふ」
「……ちっ」
俺が不気味な笑みをこぼすと、その子は悔しそうな顔と共に舌打ちすると俺の部屋から出ていった。
日比谷 麗
彼はどこで身に付けたのか、SFX(簡単にいうと特殊メイクのことだな)の腕はかなりのものだ。
ハリウッドでSFXを仕事としている人ですら見分けがつかなかったとか何とか。
他には世界レベル(自称)の声真似ができるらしい。
普段の麗は髪は耳にかかる程度で、目付きは可愛らしい雰囲気があるいわゆる美少年系の男の子だ。
身長は167ぐらいだったかな。
最初のコメントを投稿しよう!