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1章 第1話
「夏李阿 美弥と」
「………………夏李阿 優の」
「「夏李阿姉弟の雑談!!」」
「いやー、ウチらもとうとう小説化か、長く険しい道のりだったな……」
「………………道のりも何も、この小説を書こうと思ってから書き始めたのは五秒ぐらいだったけど」
「ストーリープランもへったくれも無いわけだ」
「………………そういう事だね」
「それで主役はウチでいいんだよな?」
「………………違うよ。この小説は一人称小説なんだけど、視点がよく変わるから誰が主役、とかは決まってないんだよ。あえて言うなら『葉山 捺』が主人公かな」
「くそ、あの野郎。ウチのせっかくの活躍の場をとりやがって!」
「………………だから主人公はみんなだって。それに姉ちゃん、女なんだからもっと女らし―――」
「え~、美弥なんのことかわかんな~い。キャピ☆」
「………………葬式の予算あったかなぁ……」
「あ! 今ウチのことを殺そうと思っただろ!?」
『………………はい……はい、わかりました。ありがとうございます《ピッ》』
「何を電話してんだ!?」
「………………仕方ない、山に埋めよう……」
「何を!? 何を山に埋めるの!?」
「………………え? 埋めるってなんのこと?」
「今電話してただろ!? ウチか!? ウチを埋めるのか!?」
「………………ハハハ、ナニヲイッテイルノヤラ」
「もはや演技になってないぞ、優!」
「………………姉ちゃん、ボクたちは唯一血の繋がっている最後の姉弟なんだよ?」
「だ、だよな。本当に殺すわけ――」
「………………まあそんなの関係ないけどね」
「あれ? おかしいな、目からクローバーがでてきたぞ?」
「………………それは確かにおかしいね!?」
「べ、別に優がウチのこと死んだっていいと思ってたって悲しくなんか無いんだからね!?」
「………………なんで突然ツンデレに!?」
「うぅ……」
「………………姉ちゃん、冗談なんだから本当に泣かなくても……」
「……グスッ、本当に冗談か?」
「………………〈やばい、可愛い〉ごほんごほん、うん、もちろん」
「最初に小声でなんて言ったんだ?」
「………………姉ちゃん、とりあえず涙を拭こう?」
「ん? ああ、そうだな」
「…………………………ふぅ」
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