第四章 フレッシャー王国

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「何者…と言われると難しいな。」 ギルは苦笑しながら列のずっと先にあるロアンの馬車をながめた。 「ロアン先生はフレッシャー王国の参謀官の一人であり、王家の子供たちの教師でもある。まぁ一番の肩書きはリド一族の族長だろうな。」 「リド一族?」 エルは聞き慣れない言葉に首をかしげた。 ギルは前を向いたまま軽くうなずく。 「リド一族は魔力持ちの総称だよ。昔あった王国の名前からきているんだ。」 「昔あった?」 「ああ、もう何百年も前にその名はなくなった。リド王国はいくつもの国に分かれたんだ。フレッシャー、ロイド、ラグスト、そしてダリアン王国。」 「歴史の授業ではそんな事勉強しなかったわ。」 「だろうね、これはロアン先生から教えられた話だから。ほら、あの先が国境だ」 示された先にはちいさな丘があり、国境はその向こうらしい。
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