第四章 フレッシャー王国

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フレッシャー王国の領土へと入ってしばらくはのどかな田園風景が続いている。その途中で休憩をとってからさらに馬を進める事になった。 「王宮へは今日のうちに着くわ。私が住んでいる東の離宮はそこからかなり離れているの。」 エルを馬車の中へ招き入れた姫が説明する。 「それにしてもここまでの道のりは少しおかしいですよね。少しずつ空間がずれているというか…」 エルの話をききながら姫はエルの黒髪に手をのばし、まるで長さを確かめるようになでた。 「ばれちゃった?実は道を進みながら周りにはあまりばれない程度に魔法を使ってるのよ。意識を誤魔化す魔法も混ぜてあるのに…さすが。するどいわね。」 エルは髪を触られていることはたいして気にもせずにしきりに感心している。 「魔法はそんな事もできるんですか、すごいですね~」 姫は嬉しそうに笑った。丁度その時、外へ出ていたメイドが戻ってきて出発を知らせた。エルは引き留める姫に申し訳なさそうな顔をしつつ、外へ出て馬にまたがった。
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