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道のりは険しい登り坂や下り坂のない、平坦な道で風景も見慣れてきたころ、エルは馬車のそばを離れて再び最後尾に戻ってきた。
自然とギルの隣を歩きながら特に話はしないが、それがかえって居心地が良かった。
朝から時々感じた違和感の正体も分かり、ホッとしながらもその瞬間を楽しみに待つようになっていた。感覚を研ぎ澄ませていると、ヒュッと小さな目にも見えない風が吹き起こることに気付く。
エルはその風を待ちわびながら見慣れた、しかしどこかで自分のいた国とは違う風景を楽しんだ。
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