第一章 崩された王国

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ファンファーレが鳴り響き教会から式を終えた国王と妃が現れた。 大臣、貴族、国民、それにもちろんロイド王国のものたち。 たくさんの人々の笑顔や拍手、飛び交う色とりどりの花びらが二人を温かく迎え、祝福した。 楽団が明るい行進曲をかなで始めると、白馬に引かせた白い馬車に乗り国民たちの喝采をあびながら二人はゆっくりと城へ向かう。 城の跳ね橋を通り、広い庭園をいくつか抜けるとやっと城の門が見えてくる。 門の前では一足先に戻ったカロフを始めとする家臣たちが二人を出迎えた。 「おめでとうございます、陛下。お妃様。」 誰よりも早くカロフが声をかけた。 「やめてくれよカロフ。陛下なんて他人行儀な。いつも通りカルティスでいいよ。」 「おや、私はあなたを呼び捨てにしたことなどありませんよ。カルティス様。」 笑いながらカルティスは馬車からおり、ほんの数時間前に妻となったリディアの手をとり馬車からおろした。 まるで金色の雲のように淡く柔らかく輝く髪に朝霞のような白いベールをかぶった王女は美しすぎて人間離れしてみえた。 「陛下はこの美しい妖精様が森へ帰ってしまわぬように始終見張っていなければいけませんな。」 大臣の一人が冗談をいい、その場にいた皆が声をあげて笑った。 「私はこの方をおいてどこへも行かれませんわ。」 リディアはにっこりと微笑みカルティスの腕に自分の腕を滑りこませて我が家となった城へと入って行った。
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