第四章 フレッシャー王国

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「まぁ、なんて偶然。もし、おいやでしたら何か別の呼び名をつけてください。」 「いえ、大丈夫。サラの方が親近感がわくし、早く仲良くなれそうだから。」 エルの言葉にサラはパッと顔を輝かせた。 「本当に。私はもうカシュア様と打ち解けた気がいたします。」 「エルでいいよ。皆そう呼ぶから。」 二人は鏡ごしに微笑みあった。 「明日は式典があって忙しくなりますわ。もうお休みになられなくてわ。」 「式典?なんの?」 エルの言葉にサラは固まってしまった。 「まぁ、エル様の任命式に決まっているじゃありませんか。お聞きになっていらっしゃらないんですか?」 「聞いてない。だからあんなに着せ替え人形みたいなことやらされたのか。」 エルはうなずきながらベッドへ入った。 「まぁ、詳しいことは明日教えてもらうからいいや。」 そしてサラが口を開くよりも早く眠りについてしまった。 「まぁ…」 サラはスヤスヤと眠りに入ってしまったエルを目を丸くして見つめるしかなかった。
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