第五章 そして王女は騎士となる

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厩舎にはすでに何人かの使用人たちが掃除やエサやりをしていた。 「おはようございます。」 エルは一人一人に声をかけながら自分の愛馬を探す。 「ウィン、おはよう。」 濃い茶色に鼻筋に一筋白いもようが入った馬を見つけると一頭ずつ区切られた囲いの中に入る。 ウィンと呼ばれた馬はエルを見てうれしそうにいななくと顔をすりよせてきた。優しく体をなでると、すべすべした毛と温かい体温が心地いい。 「少しだけ外を走らせてもいいですか?」 そばにいた初老の男性に声をかけると、彼はホウキを動かす手を止めずに数回うなずいた。 エルは手早く鞍を着けると囲いからウィンを出して厩舎の外へと向かった。
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