第五章 そして王女は騎士となる

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「いや~たまげたな。」 エルが近づくと先程まで厩舎の掃除に精をだしていた老人が一番に口を開いた。 「あんたみたいに若いお嬢さんがあんな腕前をもってるたぁね。ほんと感心したよ。」 「い、いえそんな。」 「本当にすごいです。王立騎士団の人間ではない人が姫様直属の騎士に選ばれたと聞いて皆でどんな人か噂してたんですよ。でも昨日の剣の腕前に続いて馬術の腕前も超一流ですね。さすがです。僕、感動しました。」 エルより少し年下であろう若い騎士の制服をきた少年が勢いこんで話しかけてきた。 「いや、本当に。たいした事はないんです。今はちょっと遊んでいただけで」 「は~、あんな腕前を見せときながらちょっと遊んでただけとはこりゃ大物が来たもんだ。」 厩舎で働いていた使用人たちはざわざわと話しながら仕事に戻って行った。 「参ったな~」 エルは片手で額を押さえながらその後ろ姿を見送った。
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