第五章 そして王女は騎士となる

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「兄さん見た?エルディアさんって最初は男の人みたいだと思ったけど、近くで見たらすごい美人だね。それにあの真っ黒な髪。僕、黒髪の人なんて初めて見た。」 「ああ」 「剣の腕前もすごいんだよ。動きがまるで踊ってるみたいだってマイクが言ってた。」 「ああ」 「兄さん。」 「ん?」 「僕、またしゃべりすぎ?」 「いや、そんなことはない。」 ニコルは大きな手をクリスの頭の上に置き、じっと引きずられていくエルを見送った。 「僕、もっとエルディアさんと仲良くなりたいのにな。すぐにいなくなっちゃうもんね。兄さんは東部隊だからいいけどさ。」 「ならお前も早く騎士団に入団できるよう修練しろ。東部隊に入れてもらえるかもしれないぞ。」 穏やかな目で見下ろすニコルにクリスはうれしそうに大きくうなずいた。
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