第五章 そして王女は騎士となる

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長い茶色い髪を後ろで一本に結んだ青年が輝くような笑顔を浮かべて手を差し出す。 「フェルナンドだ」 エルも笑顔で手をにぎりかえし、次の人物の前に立つ。 「セシリア」 「セスでいいわ。」 肩の辺りで真っ直ぐに切り揃えられた髪はフェルナンドのそれより薄い色合いで、目にはエルを検分するような強い光がさしている。 「こちらがジョンとケン。」 エルはセスから無理やり目を離すようにして二人を見た。 「紹介する時ぐらい別々にしてくださいよ。」 セスの隣に立っていた金髪の方が言った。 「僕がジョン。隣の図体でかいのがケン。」 「図体でかいは余計だ。」 しかし確かに背が高かった。間近で顔を見るには頭をぐっと後ろにさげなければ見えない。 「よろしく。」 差し出された手も子供と父親の手のように違う。 タイタスはジョンの言葉を無視して先へ進む。 「最後がアメリア。」 エルは彼女を見て息を飲んだ。まるで絵画から飛び出してきたように美しい少女だった。焦げ茶色の長い髪はフワフワと波打っていて鮮やかなグリーンの瞳がじっとエルを見つめる。 「これで全員だ。」 タイタスの声にエルは首をかしげる。 「あれ、もう一人いたような…」 エルの言葉に全員がばっとエルを見つめた。
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