第五章 そして王女は騎士となる

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「おいおい、マジかよ。」 一番に口を開いたのはフェルナンドだ。 「まさか魔力持ちか?」 「あり得ることだ。あの姫様が選んだ騎士なのだから。」 「一体どういう…」 「僕とケンは二人で一人前の力しかないけど魔力持ちなんだ。物を見えなくしたり、幻覚を見せたりする。でも力が弱いから魔力持ちには効果がない。で、聞こえは悪いかもしれないけど、君を試した。ごめんね。そういう決まりなんだよ。」 するとカーテンの影から一人の男性が歩みよってきた。 「我が騎士団の副隊長カイトだ。」 アゴの下に髭をはやした男性がエルに握手を求めてきた。 エルがおずおずと手を出して握手すると、セスがふんと鼻を鳴らしてジョンとケンをにらむ。 「早く魔術を解きなさいよ。姿が見えない人間がいるなんて気分が悪いわ。」 カイトはそっとセスに近づくとその頬を引っ張った。 「ひゃにしゅんの。はにゃしにゃさい。」 エルを含めその場にいた全員がどっと笑った。 何だかんだ緊張していたが、楽しい人たちなのかもしれない。魔力持ちだのなんだのとよく分からないことを言っていたが、とりあえずまた今度きちんと聞いてみよう。
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