第五章 そして王女は騎士となる

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式典は小さな礼拝堂の中で行われた。椅子は全て取り払われ、中央の道を挟むように騎士団のメンバーや城の大臣たちが並び、真っ直ぐに顔をあげ、少し緊張しながら道を進むエルに見入っている。 ゆっくりと歩を進めるエルは一番奥で待ち構えている人たちの顔を急いで順番に眺めていた。一番左端には護衛なのだろう焦げ茶色の髪をした異様に顔立ちの整った青年が立っている。その隣には王族の紋をつけた金髪の男性。(姫様のお兄様かしら?) 金髪を美しく結い上げ、冠からベールをたらしていて顔がよく見えないのがお妃様だろう。その隣に栗色の髪に立派なひげをたくわえた国王が重そうな大きな冠をかぶっている。 さらに隣にはやはり長いベールを顔にたらしてたたずんでいる女の子。彼女がきっとシンシア姫だ。 姫の隣にも人がいたが、そこまで目を向ける前に、所定の位置についてしまった。 国王の前で急いで片膝をつき、深く頭を下げる。
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