第五章 そして王女は騎士となる

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「母様にとってリディア様は一番の親友。そして憧れの人。彼女のようになりたくてどれ程の努力をしたか…でも到底彼女のようにはなれなかった。貴女の方がリディア様に近いわね。シンシア。」 「ありがとうございますお母様。それがどれ程のほめ言葉か…でも、彼女は私より秀でておりますよ。我が黒髪の騎士。」 「エルディア・メル・カシュア。いえ、本当ならばエルディア・メル・ラグスト王女と呼ばれるべき子。リディア様の忘れ形見。」 王妃はうっとりとその名を唱える。 「でもあなたは彼女をあっという間に離宮へ連れ去ってしまうのね。つまらないわ。母様たちも彼女と仲良くなりたいのに。」 「そうだそうだ。」 「でも離宮ほど安全で人目につかない場所はないわ。そうでしょう?これを期にお三方とも、もっと頻繁に離宮へ足を運んで下さいませ。」 微笑む彼女に勝てる者などいなかった。
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