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「そ、そっちに行ってもいい…ですか?」
エルは気をまぎらわすように急いで言う。
「へ?こっちにって結構距離あるぞ。」
ギルの言葉など耳に入っていないようにエルは手すりを乗り越えて着地点を見定める。
「大丈夫です。ちょっと離れていてください。」
言うが早いか、何度か膝を曲げ伸ばししてからパッとバルコニーからバルコニーへと飛び移った。
「無茶苦茶だな。」
ギルは笑いながら無事に着地したエルの元へ近づき頭をポンポンとなでた。
エルはされるがままになりながらギルを見上げる。すると彼は急いで手を引っ込めて視線をさまよわせた。
「ゴホン。それにしても、あれだな。この運動神経なら安心してシシーの護衛を任せられるな。」
ギルの言葉にエルはニッコリと微笑んで胸をたたいた。
「もちろんです。お任せください。」
そんな彼女の姿を彼は複雑そうに笑いながら見ていた。
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