第六章 東の離宮

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「全く何を考えていらっしゃるんですか。早朝から殿方のお部屋へ入り込むなんて!!」 「ちょっとサラ、その言い方だと誤解を招くから…」 頭から湯気を出して怒っているサンディを前にエルは珍しく、たじたじだった。 「何が誤解ですか!私はこの目でハッキリと見たんですからね。」 「まぁまぁサン。そんなに怒らなくても。」 ランディに髪をとかしてもらいながらシシーは二人の様子を見て笑っている。 「いいえシシーさま。この際ハッキリと言わせていただきますがエルディアさまには女性の自覚が足りないのです。」 「自覚?そんなに話を大きくしなくても。」 エルの言葉はますますサンディの怒りをあおるだけだった。 とにかく、これからは気軽に男性の部屋へ入ったりしない。とサンディと約束をしてエルはやっとお説教から解放された。 「やれやれ、ひどいめにあった。」 肩を落とすエルにシシーはまだクスクス笑っている。 「サンディも少しは大目に見てくれればいいのにね。ギルとはしばらく会えなくなるのだから。」 「別に会えなくなるからってさびしくなんかないですけどね。」 エルは中庭に咲き乱れる花花に目を奪われているようなふりをして答えた。 「知っているのね。」 シシーはじっとエルをみつめながら言う。 「昨日、聞きました。」 「そう。」 二人は口をつぐんで静かに散歩を続けた。
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