第六章 東の離宮

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城を出発する姫君一行の長い列がきれいに整列し、両脇から城の者たちがにぎやかに見送りの言葉をかけている。シシーは周りの制止にも耳を貸さずに馬車から身を乗り出して家族に手をふっている。 「エルディアさん。僕も東部隊にはいれるようがんばります。」 馬上のエルディアを見上げながら声をかけてきたのはクリスだ。 「兄さんのことよろしくお願いします。」 示された先には確かにニコルの姿があった。 エルディアが返事をしようと振り向くともうクリスの姿は人波に紛れて見えなくなっていた。
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