第六章 東の離宮

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長い列がようやく動き始め、エルはシシーが乗った馬車の横に並んで進んでいた。 しばらく静かに進み、そろそろ城門が見え始めるという頃、シシーがエルに折り畳んだ紙を渡した。 「列の最後尾に移ってこれを城門のところに立っている旗をかかげた人に渡して。そして旗をもらってここへ戻ってきてちょうだい。」 エルは首をかしげつつも言われた通りにいったん列から離れた。 長い行列はゆっくりとエルの前を通りすぎ、いつまでも途切れないかのように思われた。やっと最後尾が現れるとエルは安堵のため息をつき、少し距離を空けてからその後ろについた。
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