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「意外に素直で可愛い面があるって意見もあるがな。」
後ろから聞こえてきた声に振り返るとカイトが灰色の馬に乗って軽く手を振った。
「出たわね、カイト。」
セスは振り返ろうともせずにすぐに笑顔を引っ込めて列の先へ行こうとした。
「まぁ待てよ。」
カイトがセスの白馬の尻尾を捕まえた。馬はいなないて前足をばたつかせ、彼女は必死になだめるはめになった。
「ちょっと!」
怒りに燃えた目を向けたセスにカイトは余裕の様子でお腹を抱えて笑っていた。
「信じられない。エル。前言撤回よ。うちの班で一番のバカはカイトよ。あんた馬から降りなさい。二度とこんなこと出来ないようにしてあげる。」
カイトはまだわらいながら両手をあげてヒラヒラさせた。セスが目をつり上げながらなおも怒鳴りつけようとしたとき、栗毛の馬が静かに近づいてきた。
「お前たち。静かにしろ。姫君の御前だぞ。」
近づいてきたのは隊長のタイタスだ。
セスはうらめしそうにうなづいてからさっさと先の方へ行ってしまった。
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