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「セス、怒ってる…」
ロアンの隣に座っていたアメリアは馬車の中からそっと外の様子をうかがいながらつぶやく。
「やれやれ。またカイトにからかわれでもしたんでしょう。」
ロアンはうれしそうに言って座席にもたれかかった。
「困った人。」
アメリアは視線をさ迷わせてささやき、
「誰がですか?」
というロアンの言葉を聞き流した。
正面を見据えたまま口を硬く閉ざしたアメリアをロアンはじっと見つめていた。
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