第六章 東の離宮

21/49
前へ
/844ページ
次へ
「セス、怒ってる…」 ロアンの隣に座っていたアメリアは馬車の中からそっと外の様子をうかがいながらつぶやく。 「やれやれ。またカイトにからかわれでもしたんでしょう。」 ロアンはうれしそうに言って座席にもたれかかった。 「困った人。」 アメリアは視線をさ迷わせてささやき、 「誰がですか?」 というロアンの言葉を聞き流した。 正面を見据えたまま口を硬く閉ざしたアメリアをロアンはじっと見つめていた。
/844ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4125人が本棚に入れています
本棚に追加