第六章 東の離宮

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カイトはしばらくエルの隣にいて話していたが、セスの機嫌が直ったか見に出かけた。その背中からは反省の色はなく、うれしそうに人と馬の間をすり抜けていく。 「またもめなきゃいいけど…」 つぶやいてから首をふり、空を見上げた。 白い雲におおわれた空はか細い光をなげかけ、雨の心配もなさそうだ。 (ギルは今、何をしているのかな…) 気付くとそんなことばかり考えている自分に気付く。 (しっかりしろ。エルディア。) シシーは馬上で百面相をしているエルを眺めてから分厚い革張りの本をめくった。
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