第六章 東の離宮

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日が高くなり、だいぶ距離を稼いだところで昼食となった。仮のテントがたてられ、姫やロアンが中で食事をとる。エルはアメリアと共に食事をする二人の護衛にあたっていたが、途中でタイタスとセシリアが交代にやってきた。 「ご苦労様。二人とも食事をしてきなさい。」 タイタスの声に見送られながらテントを出た二人は連れだって食事をもらいにいった。 干し肉にパン、温かいスープを手に倒れた木に腰掛けると黙って着いてきていたアメリアも隣に座った。 「いただきます。」 エルはきちんと手を合わせて言ってから食べ始めた。アメリアは目を閉じて短い祈りを捧げてから膝にのせた食事を見下ろす。まずパンを小さくちぎってじっと見つめてから口へ運び何度も神妙に噛んでから飲み込む。人の輪から少しはずれているせいか辺りは静かな空気に満たされ、二人が食事をとる音がばかに響いてきこえる。
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