第六章 東の離宮

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再び動き出した馬車の中でロアンはアメリアに話しかけた。 「どうですか、彼女は。なかなかの人物でしょう?」 微笑むロアンに彼女はそっけなく。 「あなたが何を企んでいるのか大体予想がついたわ。」 と答えた。 「おやおや、流石。我が愛する天使。」 歌うように呼びかける声を無視して窓の外を眺める彼女はロアンから見てまるで一枚の絵画のようだった。 「このまま壁に飾りたいですね。」 ロアンのことばにいぶかしげに少女は振り返る。 「なに?」 「いえいえ、なんでもないです。」 手をヒラヒラふる姿を見てアメリアはますます不審そうな顔になった。
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