第六章 東の離宮

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夕暮れが迫ってきたころ、一行は一夜を過ごす予定の貴族の家にたどり着いた。 エルはセシリアと共にシシー用の豪華な寝室へ通され、ランディがシシーの世話をしている間に部屋の間取りやドア、窓、部屋のすみずみまで調べあげる。 「大丈夫なようね。私は他の部屋も調べに行くからあなたは姫様の警護をお願いね。」 そう言ってセシリアは部屋を出ていく。 すると服を着替えたシシーがさっそくエルの側へかけより話しかけた。 「セスは仕事熱心だけど時々熱心すぎて怖いわ。」 そんなシシーにエルは困ったような微笑みをむける。 「熱心なのはいいことではないですか。」 「そうだけど…」 その時、廊下からセスの怒った声とカイトの笑い声が聞こえてきた。 二人は顔を見合せる。 「カイトの存在は彼女のような人にとってすごくありがたいものだと思うわ。」 「そうですね。でも絶対にセシリアさんの前でそれは言わないほうがいいと思います。」 ランディは二人の会話を聞いてニコニコしていた。
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